広汎性発達障害児ユッキー、姉ちゃんの幼稚園バス停まで初めて歩く

広汎性発達障害児ユッキー、姉の幼稚園バス停まで初めて歩く広汎性発達障害児ユッキー、姉の幼稚園バス停まで初めて歩く

<script>” title=”<script>


<script>

ユッキー
オッス、オイラは広汎性発達障害児のユッキー!

ナガユキの長男だい♪

今回は、オイラが姉ちゃんの幼稚園バス停まで歩いたお話だよ(≧∇≦)/

 

前の話へ   目次   次の話へ

 

オイラには、上に2人の姉ちゃんがいる。

ナッキー姉ちゃん(小学2年生)とガッキー姉ちゃん(幼稚園年長)だ。*2018年度。

 

ガッキー姉ちゃんは幼稚園まで幼稚園バスに乗って通ってる。

バス停は家から300mほど離れたところにあるから、送迎の歩きはちょうどいいお散歩になる感じだ。

オイラも母ちゃんにおんぶされながら、朝と午後のお散歩を毎日楽しんでいた。

 

オイラが1歳9か月になっていた9月のはじめ、「この2学期からはユッキーも一緒に歩こうね♪」と言われておんぶしてもらえなかったことがあったんだけど、オイラが泣いて暴れて大変だったもんだから、母ちゃんはあきらめてくれた。

オイラの勝ち♪

そりゃ、バスに乗り遅れちゃったら大変だもんね♪

母ちゃんは次の日からまたオイラをおんぶしてガッキー姉ちゃんの送迎に連れてってくれるようになったよ(≧∇≦)/

 

ところが・・・10月。

母ちゃんはオイラの広汎性発達障害を確信し、療育を受けさせるために心療内科の予約をした。

と同時に、オイラのために家でできることは何でもやると覚悟を決めたらしい。

 

母ちゃんは考えた。

歩くことは、脳にとても良いしげきになるらしい。

ユッキーの脳には、どうしても「普通」になれない部分があるんだろう。

だけど、脳には他の部分を補い合う力がある

脳全体の発達を促すことで、ユッキーの苦手を補うことができるかもしれない。

とりあえず、明日の朝から毎日歩かせよう!!

 

その日の朝、母ちゃんはおんぶひもを用意してくれなかった。

そして、いつもの出発時間より10分早く玄関に行って言った。

「今日からユッキーも一緒に歩きまーす!Go!Go!」

 

いやだ!

オイラ、お姉ちゃんのお見送りはおんぶがいい!!

オイラは泣いて、叫んで、暴れた。

だけど、それは母ちゃんも想定していたらしい。

すごい勢いで泣き叫び、暴れるオイラの片手を強く握って、母ちゃんはオイラを引っ張っていく。

 

「歩こう♪歩こう♪歩くのは気持ちがいいよ♪」

「ユッキー、一緒に歩こう♪」

ガッキー姉ちゃんもオイラを応援してくれるけど・・・嫌なもんは嫌だ!

 

嫌だ!嫌だ!嫌だ!

オイラはもうわけがわからなくなったけど、泣いて叫んで暴れた。

それでも母ちゃんはオイラを抱っこしてくれない。おんぶもしてくれない。

「♪あ、る、こ~、あ、る、こ~、ユッキーは元気ぃ~♪」なんて歌いながらオイラを引きずっていく。

 

そうこうしてるうちに、バス停に着いた。

母ちゃんが「はい、ここでゴール!ユッキー、よく頑張ったね♪」と言って抱っこしてくれた。

オイラは痙攣するかのようにヒックヒックとなっていたけど、それ以上叫んで暴れるのはやめた。

 

お友達のママさんたちが「ユッキー君、今日はえらかったねぇ!」と声をかけてくれる。

オイラはその声を華麗にスルー。

1つも表情を変えずに無視。

それでもオイラに笑顔を向けてくれるお友達のママさんたちに、母ちゃんはとても感謝していた。

 

そして、バスがやってきてガッキー姉ちゃんが乗り込んでいった。

ガッキー姉ちゃんを乗せたバスが出発して遠ざかっていく。

 

「じゃあまたね~♪」と、お友達のママさんたちに挨拶した母ちゃんは「じゃあ、帰りも歩こうね♪」とオイラを下におろした。

やっと抱っこしてもらえたのに!

オイラは嫌な気持ちでいっぱいになって、また泣いて、叫んで、暴れだす。

でも行きと同じように、オイラは母ちゃんに引きずられていく。

 

片道約300mの道を、泣き叫ぶオイラの腕を引っ張りながら、母ちゃんは悩んでいた。

予想はしていたけど、本当すごい泣き叫び方・・・。

完っ全に、近所迷惑・・・。皆さんごめんなさーい!

というか、もうこれは虐待レベル???

こんなに嫌がってるのを無理に歩かせて、この子の脳に良い刺激となるんだろうか。

いつもみたいに、おんぶしながらニコニコ語りかける方がいいんじゃないかな?

公園に行くときなら自分で歩けるんだから、朝は無理に歩かせる必要はないかも?

まぁ、でも、そうしてたらいつまでたってもユッキーは朝のお見送りで歩けない。

もう少し、一週間だけ試してみるか・・・。

 

そうして、次の日の朝。

「ユッキー、今日も歩いてガッキー姉ちゃんのお見送りに行こうね♪」と母ちゃんが声をかけてきた。

あー、もう、仕方ないな。

泣き叫んでも効果がない。

オイラは母ちゃんと手をつないだまま、てくてく歩き始めた。

 

てくてく歩くオイラに驚きつつも、母ちゃんがニコニコ話しかけてくる。

「葉っぱがいっぱい落ちてるね!踏むとカサカサいい音がするね♪」

ガッキー姉ちゃんも「ユッキーすごい!ユッキー、歩くの楽しいね♪」って声をかけてくれる。

・・・歩くのも、悪くないかもしれない。

 

てくてく歩き続けて、昨日母ちゃんから「はい、ここでゴール!」と言われたバス停のブロックのところに着いた。

すかさず「ね、ねー(訳:抱っこ)」と母ちゃんに抱っこを要求する。

母ちゃんは、昨日と同じように抱っこしてくれた。

 

抱っこされたオイラに、友達のママさんたちが「ユッキー君、頑張ったねぇ!」と声をかけてくれた。

嬉しいけど、オイラは顔をママさんの反対側に向ける。

そんなオイラにかわって、母ちゃんが「恥ずかしがり屋さんでごめんね(^_^;)ありがとう!」と言っていた。

 

幼稚園バスがやってきて、ガッキー姉ちゃんを乗せてまた走り出す。

その様子を見届けて、母ちゃんは「さぁ、おうちまで歩いて帰ろうね♪」と声をかけてきた。

オイラは、またてくてくと歩き出す。

 

こうしてオイラはガッキー姉ちゃんの送り迎えで歩けるようになった。

片道300mの往復で600mの道のりを、送りと迎えの2回で1日合計1.2㎞歩くことになる。

 

母ちゃんは「1度泣いただけで覚えるユッキーはかしこい!」と親バカモードになってたけど・・・

実際、オイラはかしこいのかもしれないね♪

 

前の話へ   目次   次の話へ